「ラーメンあんまり食べないから…」


綾の母はラーメン屋や焼肉屋やファーフトフード店にあまり行かない。


母が言うには「私が好きじゃないから」
母は自分の価値観を家族に押し付けるところがあると綾は思う。


でもそんな母に綾は何も言えない。


「俺、でかいチャーシューのラーメンが食べたいな。スープは豚骨がいい」


二重のくっきりとした瞼をクリクリ輝かせてリョウが笑う。


「今日さ、だせー名前の神社やめてラーメン行く?」



綾は慌てて首を振った。


平日のお昼に中学生がラーメン屋さんにいたら、何を思われるか分かったものではない。


「じゃあ今度ね。駅前に担々麺の店あったの見た?」


綾は首を振った。


「俺あそこがいいな。餃子と炒飯も食いたい」


今日もリョウは勝手に話を進める。