スーパーを出ると、「ごめん。ハガキ出すの忘れてたからちょっとここで待ってて」と言って、恒夫は道路沿いの郵便ポストに走って行った。


スーパーの駐車場に一人取り残された綾は、なるべく目立たないように壁際に立った。


でもその努力は報われなかった。


「おまえ誰?転校生?」


先ほどのパン屋の男子だった。


ワックスでセットした短い髪はツンツンと上を向いている。


制服を着ているので学校帰りだろう。


「なんで私服?学校行ってないの?」


ズケズケと綾に質問する少年の方をちらりと見ると、「横谷」と書いてある。


「つーか誰?」


横谷のズケズケとした物言いは、学校での出来事を思い出させた。


身体を硬直させたまま下を向くことしかできない。


その時、小走りで恒夫が戻ってきた。