その後もリョウは一人で色々と取り留めのない話をすると、本を抱えて「じゃあまたね」と部屋を出て行った。


綾は手を振ろうと腕を上げかけたけど、結局その勇気は持てずに、リョウに小さく頷いた。


一人残された自習室Eで本を開いてみたけど、内容は全然頭に入ってこなかった。



コンコンと扉を叩く音がして、弾かれたように顔を上げるとガラス扉の向こうに叔父の恒夫が立っていた。