「でも…」


「いいじゃん。暇なんでしょ?」


勝手に決めつけるとリョウは本の山から三つ折りのパンフレットを取り出した。


「受付でもらってきた」


そこにはこの小さな田舎町の観光スポットが書かれていた。


「うわー。つってもなんもないよなぁ」


テーブルに広げられたパンフレットを綾も覗き込むと、「お茶博物館」や「白絹の滝」など、田舎ならではの名所が地図のイラストで紹介されていた。


「図書館から近いとこだと…ここか。大山田神社。ははっだせー名前」


リョウは勝手に話を進めて勝手に笑う。


その屈託のない笑顔に、綾は少しだけ緊張が解けていた。