「かーやも招待されたんだ、蒼に」


私は首を横にふりかけ、あわててうなずいて見せた。

まさか、蒼に知られないようにファンクラブでチケットを手に入れたなんて言えない。

「はい、私も、招待で…」



優成は笑いながら私を見ている。

「なんですか、なにか、ヘンですか」

私は服をはらったり、顔になにかついてないか手のひらでこすったりした。 


「ちがうよ、やっぱり可愛いなと思って」

「やめてくださいよぉ」

私は優成の肩をぐいっと向こうに押しやった。

優成は、私より4歳年上の25歳。

兄貴と同じ年なので、どこか安心しておしゃべりできる。

「こんど遊ぼう」
「いつでも連絡してよ」
「しばらく会わなかったから気になってたよ」

なんて、誰にでも思わせぶりに、好意をもっているかのようなことを言う調子のいいところがある。

けど、だからこそすぐに打ち解けることができた。



「蒼も気が利くな」

「え?」

私は聞き返した。

「いや、こっちの話」