「返事すんなら動けって。」
「いや、その・・・動かないの。緊張して足が動かないの!!!」
だってさ、あんな大人数の前で話すことなんて人生で一度もないもん。
秋帆君が「はぁー」と溜息をついて
「ったく、世話のかかる女だなー。
これ、俺の宝物。貸してやるから行くぞ。」
ポケットからお守りを出して私の手に握らせてくれた。
「失くしたら許さねぇからな。」
「うん、ありがとう。」
お守りのお陰なのか、それとも秋帆君が話しかけてくれたのが嬉しかったお陰なのか、ちょっとだけ緊張がほぐれた。
「行こ!秋帆君!!!!」
「お、おう。」
秋帆君、私を認めてくれてありがとう。
