「続いての演奏は、プログラム5番、神代風牙さん。
演奏曲は、ベートーヴェン、ソナタ作品27の2。
〈月光〉です。」
パチパチパチと拍手が響く。その音と共に舞台を歩くのはまだ年端のいかない少年だ。
「_____」
私は自然、その男の子を目で追った。
「ママ、あの子」
「あの子はね、ママたちの知り合いの息子さんなの。
すごーく上手だから、見ててね」
「うん!」
男の子が席に座ると、場内の雰囲気が変わった。
男の子の手がピアノに触れる。
世界が変わるような感覚を、幼いながらに味わった。
その時聞いた音を、私_____磯上音羽は、高校生になった今も、まだ覚えている。
演奏曲は、ベートーヴェン、ソナタ作品27の2。
〈月光〉です。」
パチパチパチと拍手が響く。その音と共に舞台を歩くのはまだ年端のいかない少年だ。
「_____」
私は自然、その男の子を目で追った。
「ママ、あの子」
「あの子はね、ママたちの知り合いの息子さんなの。
すごーく上手だから、見ててね」
「うん!」
男の子が席に座ると、場内の雰囲気が変わった。
男の子の手がピアノに触れる。
世界が変わるような感覚を、幼いながらに味わった。
その時聞いた音を、私_____磯上音羽は、高校生になった今も、まだ覚えている。