つねに何かしらのイベントを絶えず行なっている中央公園は、相変わらず人で賑わっていた。
お盆明けの週末。
ならはお盆明けにわざわざ1日だけ仕事して、すぐに新幹線に乗って帰ってきていた。
東京から見るとマシだが、夏の太陽は体力をグングン吸い取っていく。
こんな真夏に屋外でイベントだなんて。
時期を考えろ。
そうは思いながらも、このためにわざわざ新幹線の切符を取ったのも確かだ。
入り口のインフォメーション前まで来て、改めて躊躇する。
本当に私は今日ここに来て良かったんだろうか。
大和はなんて思うだろうか。
帰っちゃおうかな。
そう思うものの、新幹線の切符代がチクリと心に刺さる。
大丈夫。
大丈夫。
偶然を装えばいいし、反応が悪かったらそのまま帰ればいい。
会場案内図の立て看板前で、ならは顔を上げる。
白峯窯・・・白峯窯・・・
ん・・・?
ならは、立て看板の右上から左上、斜め右下、とジグザグに文字を探すが見当たらない。
あれ?
もう一度・・・
口元で「はくほうがま・・・」と呟きながら探す。
ない。
もしかして、今年は出店してない・・・?
でも笹崎の情報だから、確かなはず。
ならはゆっくり会場内を見て回ることにした。
手作りのお菓子や漬け物、野菜などが多いが、たまにチラホラと雑貨も並べられている。
白峯窯もありそうなんだけどな。
ならは注意深くゆっくり歩く。
でも、大和がいれば一発で気づくはず。
そう思いながら、ふと前方から声がするのに気づく。
ならは視線を前方に向けた。
そこでは、テントの下にテーブルを並べてワークショップをやっているようだった。
親子連れや女の子たちがちらほら座っている。
チーム・カナタニと書かれたポップな看板が目に入った。
どうやら陶芸体験をしているようだった。
ならはゆっくりそのブースに近づく。
4人の男女が各テーブルについて参加者と向き合う位置に立っていた。
そのうちの1人の男とバッチリ目が合う。
男は「あっ」と言って口をポカンと開けたまま固まる。
ならが歩み寄る。
「久しぶり。」
「久しぶり。えっ、なんで。」
浅く日に焼けた峯岸だった。
「笹崎に同窓会で会って、行ったらって。」
「ああ、あの熱血教師・・・。」
「熱血って・・・」
ならは思わず吹き出す。
峯岸は座ってる参加者の方に目をやる。
「ごめん。あ、もう帰る?」
ならは首を振る。
峯岸は声のボリュームを下げる。
「昼休憩まで待ってられる?」
「うん、いいよ。」
「ごめん、またその時連絡する。」
峯岸は申し訳なさそうに「じゃ」と手を挙げると、すぐに表情を切り替えて目の前の仕事にあたった。
どう思われるのか構えていたならとは裏腹に、大和は意外と普通だった。
ずっとずっと私の心の奥で凍っていた思い出が、一瞬にして溶けたようだ。
大和は私に何を思ったかな。
お盆明けの週末。
ならはお盆明けにわざわざ1日だけ仕事して、すぐに新幹線に乗って帰ってきていた。
東京から見るとマシだが、夏の太陽は体力をグングン吸い取っていく。
こんな真夏に屋外でイベントだなんて。
時期を考えろ。
そうは思いながらも、このためにわざわざ新幹線の切符を取ったのも確かだ。
入り口のインフォメーション前まで来て、改めて躊躇する。
本当に私は今日ここに来て良かったんだろうか。
大和はなんて思うだろうか。
帰っちゃおうかな。
そう思うものの、新幹線の切符代がチクリと心に刺さる。
大丈夫。
大丈夫。
偶然を装えばいいし、反応が悪かったらそのまま帰ればいい。
会場案内図の立て看板前で、ならは顔を上げる。
白峯窯・・・白峯窯・・・
ん・・・?
ならは、立て看板の右上から左上、斜め右下、とジグザグに文字を探すが見当たらない。
あれ?
もう一度・・・
口元で「はくほうがま・・・」と呟きながら探す。
ない。
もしかして、今年は出店してない・・・?
でも笹崎の情報だから、確かなはず。
ならはゆっくり会場内を見て回ることにした。
手作りのお菓子や漬け物、野菜などが多いが、たまにチラホラと雑貨も並べられている。
白峯窯もありそうなんだけどな。
ならは注意深くゆっくり歩く。
でも、大和がいれば一発で気づくはず。
そう思いながら、ふと前方から声がするのに気づく。
ならは視線を前方に向けた。
そこでは、テントの下にテーブルを並べてワークショップをやっているようだった。
親子連れや女の子たちがちらほら座っている。
チーム・カナタニと書かれたポップな看板が目に入った。
どうやら陶芸体験をしているようだった。
ならはゆっくりそのブースに近づく。
4人の男女が各テーブルについて参加者と向き合う位置に立っていた。
そのうちの1人の男とバッチリ目が合う。
男は「あっ」と言って口をポカンと開けたまま固まる。
ならが歩み寄る。
「久しぶり。」
「久しぶり。えっ、なんで。」
浅く日に焼けた峯岸だった。
「笹崎に同窓会で会って、行ったらって。」
「ああ、あの熱血教師・・・。」
「熱血って・・・」
ならは思わず吹き出す。
峯岸は座ってる参加者の方に目をやる。
「ごめん。あ、もう帰る?」
ならは首を振る。
峯岸は声のボリュームを下げる。
「昼休憩まで待ってられる?」
「うん、いいよ。」
「ごめん、またその時連絡する。」
峯岸は申し訳なさそうに「じゃ」と手を挙げると、すぐに表情を切り替えて目の前の仕事にあたった。
どう思われるのか構えていたならとは裏腹に、大和は意外と普通だった。
ずっとずっと私の心の奥で凍っていた思い出が、一瞬にして溶けたようだ。
大和は私に何を思ったかな。