「ごめん、ちょっと待って。」
「え?何それ。」
「ちょっと待って。ちょっと頭が…。」
「ごめん、襲わないって約束したのに。ミスったー・・・」
「いや、なんか、どうしようって。」
「どうしようって何。え、もしかしてファーストキスでしたか、お嬢さん。」
「違うよ。違うけど、付き合うってちょっと考えてなかった。」

ならは働かない頭で必死に丁寧に言葉をひねり出す。

「じゃあいいや。一旦なしにしよう。あ、乾杯まだだったね。しよ、乾杯。」

そう言われ、ならが何とかビールを手にすると、笹崎は自分の持っていたビールを軽く打ち付けた。
その後は会話もなく、ただ花火が打ち上がり続けた。