校長「____新学期、新しいクラスが楽しみだとは思いますが、くれぐれも事件などを起こさないように。」

((ねっみぃ…。))



新しい学級。新しいクラス。多分今年も…。

((えーっと、A組か。))

ガラッ

((…また、あいつと一緒のクラスか。))

ほとんどの席が埋まっているというのに、自分の前の席だけ空いている。


担任「おはようございます。高校生になって初めてのクラス替え、心がウキウキじゃないですか?ですが、校長先生が言っていたようにくれぐれも問題は起こさないように。」

他の生徒が少し騒がしい中、少し考え事をするように前の席を見つめる。

((かえで…来ねえのかな。…そーいや最近メールしてなかったかもな。今日…してみるか。))

そんなことを思っているうちにチャイムが鳴る。

先生「じゃあ、今日はこれで。明日もあんまり授業はないが、落ち着いて行動しろよー。よし、じゃあ起立。」

先生の号令でみんなが席を立つ。

先生「礼。」

少し面倒くさそうに一礼すると、一気に教室が騒がしくなった。

((…俺も帰るか。))

鞄を背負い、階段を降り、下駄箱から下靴を出し、上靴を下駄箱に入れ、外を出る。
多分こんな日常がずっと続くのだろう。そんなことを考え、少し退屈に思った。


学校からの帰り道、少し下を向きながらとぼとぼと帰っていると、足元に桜が落ちてあるのが分かった。

佐竹 あおい「あ、桜…まだ咲いてんだ。」

少し上を見上げ、風が吹く。また桜が散っていく。

((…あいつが来なくなったのっていつぐらいだったかな。))


ガチャ

あおい「ただいまー。」

両親は共働き。家には一人でいることの方が多い。
2階に上がり、自分の部屋をあけ、鞄を置く。
そのまま少しベッドに横になってみる。

あおい「ふぅ〜、疲れた。」

携帯を手に取り、かえでとのトークを確認する。

((9月12日…この前の日からかえでが来なくなったのか…))

ーートークーー

9月12日
あおい「昨日学校来なかったじゃん。風邪?」
かえで「うん。少し体調悪くて。」
あおい「そーなんだ。しっかり休めよー。」
かえで「ありがと。」

10月15日
あおい「全然学校来ねえじゃん。なんかあった?」
かえで「ううん。何もない。」
あおい「なんだそれ。みんな心配してるし学校来いよ。」
かえで「うん。」
あおい「明日は?来れんの?」
かえで「ああ、行くよ。」
あおい「おっけー。」


次の日、かえでは来なかった。

((この次の日…俺なんでメールしなかったんだろ。))

((まぁいっか。久しぶりにメールしてみよ。))

ーートークーー

4月8日
あおい「久しぶり。元気してる?」

((っと。こんなもんかな。))

すぐにかえでから返信が来た。

かえで「久しぶり。元気だよ。」

((相変わらず返信はえーな。こいつ。))

あおい「今日始業式だったよ。」

かえで「そうなんだ。新しいクラスどーだった?」

あおい「まぁいいんじゃない?」

かえで「そっか。」

あおい「学校来ねえの?」

かえで「うん。」

あおい「明日は来いよ。この前来いって言ったのに来なかったろ。」

かえで「ああ、ごめん。」

あおい「明日はまだ授業少ないし絶対来いよな。」
「明日、お前の家まで迎えに行くから。」

かえでが素っ気ないのが少し気に食わなかったのか、
少し強引になってしまった。

((幼馴染なんだし、このくらいは大丈夫だろ。))

かえで「え、来るの?」

あおい「うん。行くけど。」

かえで「そっか。」

あおい「じゃあ、明日8時15分にお前の家行くから。」

かえで「うん。」


((ふう、そういえば、久しぶりに一緒に登校するな…))

((…風呂入るか。))