「食事の時に嚥下(口内にある食べ物や薬を飲み込むこと)しにくい食品がいくつかありました。それは何でしたか?」

「と…とうがらし!」

麗華が答える。紗弥は後ろに座っている桜花に「とうがらしもあるけど、とうもろこしもそうだったよね?」と小声で聞いた。桜花は「そうだよ」とうなずく。

「えっと、カルデラ!」

雪乃が答える。紗弥は「カルデラって火山活動によって出来た大きなくぼ地のことだよね」と苦笑した。

「他に…そうだ!こんやく!」

「へ…?それ、婚約者とかのことを言ってる?」

紗弥は麗華と雪乃の答えにツッコミだから苦笑をした。

「…とうもろこし、カステラ、こんにゃく、ピーナッツ、かまぼこなどでしょ?」

後ろで桜花が答える。すると、五十鈴先生は「正解」と微笑んだ。

五十鈴先生は一呼吸を置くと「バリアフリーとユニバーサルデザインの違いを説明できる人!」と紗弥たちを見つめながら言った。

「……バリアフリーは、ある環境や製品を使うことができない人のバリア(障害者の生活にさまざまな制約を生む、人間が作り出した物理的、社会的、制度的、心理的な障壁のこと)になっているものを取り除くという考え方」

「ユニバーサルデザインは、年齢や能力などの違いに関わらず、できる限り多くの人が使いやすい環境や製品のデザインを目指すという考え方」

バリアフリーは紗弥が答え、ユニバーサルデザインは桜花が答える。真面目な回答に、五十鈴先生は感動をした。