「じゃぁ、あの話は一体……」

「あの話って何?」

しまった。無意識のうちに声を出していたらしい。
でも……有沢さんは知っていても不思議ではないような?


「何か、うちの事業部を彩馨側が欲しがっているという噂が……」

「何それ?誰から?清貴君?」


一瞬清貴さんの名前が出てビクンッとなる。

「な、なんで社長……?」

もしや同居がバレてる?何で?


「え、だって……今でも一緒にごはんとか行かないの?」

日曜の昼に行き……って有沢さんが言いたいのはそうではないだろう。

「いえ…全然ですよ」

そう答えると、有沢さんは「いや、てっきりまだ二人で色々行ってるもんだと思ってたけど……」と頭を捻っている。

「結構仲良かったよね?だから仕事であんな言い合えるんだと思ってたけど」

「そんなの………遠い昔の話ですよ」


確かに仕事で、あれだけ言い合えるのは……私たち二人の間に、積み重ねてきたものが沢山あったからだと言うのはわかる。