稲荷と神の縁結び

並んで座る二人はよく似ており‐さすが親子である。
目を引く美形親子。二人ともオーラが違うと言うか…庶民よりワンランクもツーランクも上の親子といったところか。座っているだけでキラキラ眩しい。


「清貴はいつものナポリタンでいいかしら?
あ、時松さん、デザートはいかが?ここのチーズケーキは絶品なのよ」

「は、はい………では、いただきます…………」

「それとワインはいかがかしら?もしかして、あまりアルコールは飲めなかったり?」

「そんなことはありませんが……あまりワインを飲む機会がありませんでして………」
(普段は日本酒か焼酎だとは到底言えない…)

「だったらこの銘柄は飲みやすいわよ。是非どうかしら?」

「はい、ではお言葉に甘えて、いただきます……」


滋子様の表情はさっきよりも幾分か和らいでいたが…私は全然緊張が解けず、この日のオムライスの味は全く覚えていない。

ようやく少し肩の力が抜けたのは‐程よく酔いが回った、食後のデザートを食べている時であった。