「庭の掃除も徐々に範囲を広げていきます。来月には庭師の方をお呼びしましたので、せめて雑草だけでも取り除いておこうと思います」

「わかった」

「お風呂ですが、私は湯船に浸かりたいので、申し訳ございませんがお湯は溜めさせていただきます。
寝る前、十時頃には入らせて頂こうかと思ってます」

「溜めるなら俺も入る。どっちにしろ帰宅はそれより遅いと思うが」

……入るのかよ、と突っ込みたい。
私が入った後の湯槽でいいのだろうか。まぁいいことにしよう。


「その他、何かございますか?」

「そうだな…家で『社長』呼びはやめろ」

「……わかりました」


まぁ、家でも社長と呼ばれるのは、気分が良くないのかも知れない。


「以上、よろしくお願いします。清貴さん」
そう頭を下げると「こちらこそ」とフッと微笑む。

あぁやっぱりこの笑顔はずるいな。
これが見れるだけ少し儲けものだな、なんてことを思っていた。