「正直半信半疑だったが、奇妙なこと続くと信じるしかないだろう」

「まぁ、普通はそうですよね……私達はそれが当たり前でしたから」


『あそこ気を付けて』と言われた場所で怪我したり、晴れの予報なのに『雨降るよ』と言われて本当に雨が降ったり…
物心ついた時からそんなことは日常茶飯事。

だから、まぁ『神様っているんだ』と思い、家の仕事には全く疑問がなかった。


「こはるは何かないのか?特殊能力」

「………あったらもっと神社が繁盛してるんじゃないでしょうか」
きっと圭ちゃんが私を売り出していたであろう。

「だろうなぁ」
そうクスクス笑っている。

「お前色々鈍いんだもんな」

「どこがですか?!」

「ん?色々と」

なんだか腑に落ちないな…と不満だったが、社長はいつか見たあの顔で笑っている。
その顔を崩すのが勿体無いので、不満は心の中に仕舞っておくことにした。