そんな圭ちゃんと私の姿を見て、いつもお姉ちゃんはこう言っていた。

「二人ともよく家出しないねぇ……」

まぁ『家出』という発想に行き着くのは小学生ならではだっただろう。


でも当時から圭ちゃんは、『家出』なんていう短縮的な考えは端から持っていなかった。
まぁ正直言うと、当時から一ミリもブレていなかったのだ。


「俺は復讐するよ?ジジイが成し得なかったこと全部俺がやってやるから」

クッキーを頬張り、当たり前のように言う圭ちゃん。



お祖父様が成し得なかったこと。

沢山あるが、その中の殆どが‐身内からの人望が得られずに、終わってしまったことだ。

特にあの百年に一度の鳥居の建て替えは、仕切りがお祖父様だったけど………ぶっちゃけ言うと、散々だったらしい。

私達子供は当然蚊帳の外だったが…私達に構う余裕はなく、平和すぎるほどだった。
今はその反動がすごい。