いつもこっそりと抜け出しては、私はお姉ちゃんに食べ物を恵んでもらっていたのだった。


「しかし、あのおじいちゃんがねー。私から見たら、いいおじいちゃんだけど」

「………外面が良いだけだよ」

「圭吾も外面良いし、やっぱそういうのは似てるのかなー」


他の人にこのことを話しても‐大袈裟な。どうせ悪いことしてたんでしょ?と笑いながら言われるのが関の山。
いくら私が理不尽だと説明しても、んな馬鹿なと笑われるのがオチだった。


でもこのお姉ちゃんだけは違った。
いつも理不尽を一緒に怒ってくれて、慰めてくれる存在だったのだ。


「こーはー!やっぱり居た」

そしていつも二人で居ると、圭ちゃんがやってくる。


「俺も貰っていい?」

「言ってる傍から食べててどうすんの?ま、いいけど」
そう言いながらお姉ちゃんは、追加のクッキーを持ってくる。

つまり私と同様に、恵んでもらっていたのは圭ちゃんもで。そもそも圭ちゃんとお姉ちゃんは同じクラスの同級生。私以上に仲が良かった。
(学校内ではあんまり話さないらしい、とは言っていたが)