稲荷と神の縁結び

「いや、滋子様………私は一応、一時的な家政婦の扱いで………」

「ベッドは清貴と同じものですから、並べることも可能ですからね」

……つまり、これは誰かの嫁入り道具にもなるということか。いや、それだったら尚更私のお古なんぞ…いやちょっと待て。


「き、清貴さん……！」
私は小声で、清貴さんに耳打ちをする。

「い、いつから滋子様は私がここに住んでいると……？」

私は誰にも口外していないし…清貴さんも口外してない筈だ。そんなの絶対に噂になるし。

「あぁ…先週に、弁当食べてたら尋問されて…」

「ちょっと二人、何を話されているのかしら？」

ビクッとなるほどの鋭い声色が飛んでくる。

「滋子様、あの……黙って私が住んでいたことについては、何か……」

「ですから、ちゃんとご用意ぐらいは差し上げてましたのに。もう本当に気が利かない子ね、清貴は」

「いや私は前に断っ……ってそうじゃなくて、滋子様にとっては仮にも義理の実家にあたる場所になりますし……」

「ま、 わたくしとしては感謝しておりますわよ。わたくしの手には追えませんから。ここを管理することは。
まぁ、清さんには時期が来るまで黙ってましょうかね？」