「ありがとうございます。『社長』としてどう接すればよいのか迷ってましたけど、私は私なりに…清貴さんが社長としての役目を全うできるように、力になりたいと思います」
「そうかい。何なら君が嫁として…清貴を尻に敷いても良いのだよ?」
「あははは。それは面白いですね。では、店員さんを呼びますね」
そうして私はベルを鳴らして、店員さんを呼んだ。
*****
この日の出来事は、ちょうど馨様が亡くなる二年前の話だ。
そして…私が生きている馨様を、最後に見た日でもある。
間もなく馨様は入院し、その最中に脳梗塞を起こし……次に目覚めた時には、食べることはおろか、体を動かすことすらままならなくなっていた。二年前、家族以外とは面会ができず…結局、私はあの最中を、一度も馨様に届けることはできなかったのだ。
その事は心残りであったが、この日があって…私は仕事に、社長としての清貴さんにもちゃんと向き合うことができたのだと思う。
私は生涯、この日を忘れないだろう。
「そうかい。何なら君が嫁として…清貴を尻に敷いても良いのだよ?」
「あははは。それは面白いですね。では、店員さんを呼びますね」
そうして私はベルを鳴らして、店員さんを呼んだ。
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この日の出来事は、ちょうど馨様が亡くなる二年前の話だ。
そして…私が生きている馨様を、最後に見た日でもある。
間もなく馨様は入院し、その最中に脳梗塞を起こし……次に目覚めた時には、食べることはおろか、体を動かすことすらままならなくなっていた。二年前、家族以外とは面会ができず…結局、私はあの最中を、一度も馨様に届けることはできなかったのだ。
その事は心残りであったが、この日があって…私は仕事に、社長としての清貴さんにもちゃんと向き合うことができたのだと思う。
私は生涯、この日を忘れないだろう。



