奥様が亡くなられてもなお、ずっと肌身離さずにつけている結婚指輪。それはずっと、馨様が奥様を思っている証拠だろう。
「強いていうならば…冥土の土産に、曾孫の話でもあれば良かったんだけどねぇ。
君みたいな良い子が、清貴の嫁になってくれれば良いのだけれど?」
クスリと笑いながら、私を見る馨様。
私は「いやいや」と首をブルブル震わせる。
「だって今のあの人は、社長じゃないですか。私はただの平社員で、立場ぐらいわきまえてます。
いずれあの人は、社長の奥様として相応しい人と結婚するでしょう。会社にとっても、自分にとってもプラスになる、身分相応の…」
話を続ける前に、次は馨様が首を横に振った。
「確かに、それなりに身分を問われる婚姻もあるだろう。紬が今、大変苦労をしているからね。
でもさっきも言った通り、私は貧乏な農家の生まれだ。身分もへったくれも何もない。
ただ私はね、祖父として清貴の幸せを願っている。本当に好きな人とだけ、結婚して欲しいと思っているんだよ」
目を細めて微笑む馨様は‐本当に清貴さんや家族への愛情が溢れているようだった。
「強いていうならば…冥土の土産に、曾孫の話でもあれば良かったんだけどねぇ。
君みたいな良い子が、清貴の嫁になってくれれば良いのだけれど?」
クスリと笑いながら、私を見る馨様。
私は「いやいや」と首をブルブル震わせる。
「だって今のあの人は、社長じゃないですか。私はただの平社員で、立場ぐらいわきまえてます。
いずれあの人は、社長の奥様として相応しい人と結婚するでしょう。会社にとっても、自分にとってもプラスになる、身分相応の…」
話を続ける前に、次は馨様が首を横に振った。
「確かに、それなりに身分を問われる婚姻もあるだろう。紬が今、大変苦労をしているからね。
でもさっきも言った通り、私は貧乏な農家の生まれだ。身分もへったくれも何もない。
ただ私はね、祖父として清貴の幸せを願っている。本当に好きな人とだけ、結婚して欲しいと思っているんだよ」
目を細めて微笑む馨様は‐本当に清貴さんや家族への愛情が溢れているようだった。



