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その和菓子屋では、お土産として十個入りの和菓子を持たせてもらった。そして次に、馨様は夕食へと誘ってくれた。
そして連れて行かれた先は‐見覚えのある、洋館を改装したレストランだった。
事前連絡をしていた為か、私達はいつぞやの個室へと案内される。


「時松さん、何にしますか?」
メニューをパラパラめくる私に、馨様が聞いた。

「えぇっと……オムライスにしようかなと………」
(前回味が分からなかったし…)

「だったら、ハヤシソースのオムライスにすれば良いよ。ここのハヤシソースが、私は好きなんだ」

「では是非とも、そうします」

「あと、滋子君からここのチーズケーキが好きだと聞いているが、君の分も注文して大丈夫かい?」

「はい、お願いします!ってなぜ滋子様が……」

さっきから馨様は、ちょくちょく滋子様の話題を挟んでいる。確かに滋子様は私を気に入ってくれていて…よく差し入れもいただくが、そんな馨様にわざわざ言うほどのものでもない気がしているが…。


「だって君は清貴と仲が良いだろう?母親として…私も祖父として、気にはなるよ」

『仲が良い』その単語に‐私は顔が曇る。