(そんなの……先に言ってくれ…………)

色々と頭が混乱し、血の気が引いていく。
何も知らないのは……私だけだったらしい。


血の気が引いていく最中、私の携帯電話が鳴って正気に戻る。
表示を見ると……滋子様だ。

庭師の方が終わったのだろうか。
私は「時松です、お疲れ様です」と電話を取った。

『こはるさん?お疲れ様。さっき庭師の方達が帰られましたわよ』

「かしこまりました。ありがとうございます」

『それであなた。今使われている部屋は畳の客間かしら?全くあなたのものが見当たらないのだけれど』

「はい、客間を使わせていただいてます。荷物は押し入れの中に…と言ってもスーツケース一つだけですが」

『だったら奥の部屋を使いなさい。今は空ですから、家具などを買い足しなさいな』

「いえ………今のままで十分ですが………」

『何を言っているの?あなた一応年頃の女性でしょう?部屋にもこだわりなさいよ』

「………はい」

電話でも威圧感がある声なのは、さすがである。

『どうせあなたのことだから、めんどくさがって買わないわよね?
いいわ、私が買ってレイアウトしますから。いいですね?』

「いやいやそんな!そんな大層な…」

『報酬として、さっきういろうは全部いただきました。それじゃ私は家具選びに行きますからね』

そう言うとガチャンと切れる電話。
顔を上げると‐圭ちゃんと清貴さんが私を見ている。