稲荷と神の縁結び

「はい、これとこれね」

素早く手にしたのは、チュール刺繍のロングワンピース。ピンク…と言うよりベージュに近いピンクベージュが上品で、スカート部分はボリュームのあるシルエットが可憐な雰囲気。
それとノーカラーの黒いシンプルなジャケットを、私に押し付ける滋子様。

「そこで着替えてらっしゃい」

さらに滋子様は、私を試着室へと押し込む。

えっと……これは、着なければいけないのか?


「あの…滋子さ……」

「私はバックとシューズに、メイクを決め…あら、清貴」

すっかり息子のことは忘れていたらしい。

「母さん、忘れてたろ?」

「失礼ね。あなたが居ても意味はないでしょう?」

「…どっちが失礼か」

「さ、こはるさん。早くお着替えなさい」

そうして滋子様はガチャっと勢いよく試着室のドアを閉めた。


「………あの、清貴さん………?」

「何だ?着替えた?」

「いえ……」

「早く着替えて」

「あの、何でこんなことに……」

「着替えたら説明するから」