稲荷と神の縁結び

「こはるにとって俺は『社長』でなけば価値はないんだな?わかった」


言っている意味がわからず、固まる。
そうじゃなくて、私は清貴さんのことが好きだから社長でいて欲しいと思っ…

「社長!」

固まっているその隙に‐清貴さんは行ってしまった。
慌てて追いかけるが…人混みの雑踏に紛れて見失い、為す術もなくなってしまった。



それが私達の、ある意味『最後』だった。


すぐにうちの店は繁忙期に入り、目の回る忙しさが続いて‐繁忙期が明けた頃には、スタッフの入れ替えがあり、清貴さんと働いていた時のメンバーはほぼ居なくなった。

清貴さんが店に来ることも…私と話をすることもなくなり、ただただ日々が過ぎていった。


次に清貴さんとマトモに話したのは‐その次の年。私が本部へ移動になってからだった。


私はきっと、この日何かを間違えた。

それはずっと溶けることなく、わたがまりとなり…ずっとずっと、胸の奥底に沈んでいる。