残りの休日をどう過ごそうか考えていると、雅也くんを紹介してくれた友人にまだ何も状況を伝えてなかったことを思い出した。
渋谷のホームに降り立ったタイミングで、思い切って報告がてら電話をかける。

「もしもし」

呼び出し音が数回鳴った後、聞き慣れた女友達の声が聞こえた。

「あ、今忙しかった?」

「ううん、大丈夫。
何かあった?」

後ろからは車の音が聞こえる。外出中なら報告は早めに済ませた方がいいだろう。

「あの…紹介してくれた雅也くんと付き合うことになった」

「え、まじで?!
おめでとう!透子のことだから断れなくて会ってくれた感じかと思ってたけど、うまく行ったならよかった」

思わず笑ってしまった。
紹介の連絡をもらった時、あまり乗り気でなかったのが十分に伝わってしまっていたんだろう。
さすが学生時代からの親友はよくわかっている。

「正直最初はめっちゃ構えてたんだけど、会ってみたらすごくリラックスできて。
いい人紹介してくれてありがと」

「そっかそっか。工藤くんゆるっとしてるけど仕事の時はめちゃくちゃ真面目だから、その辺は安心していいと思うよ。
色々話聞きたいな〜透子、今日このあと何してるの?」

「ありがとう。今日は特に予定ないけど」

「そしたら飲みに行かない?しばらく二人で会ってなかったし、久しぶりに色々話したいな。
今日は彼氏も飲み会で帰り遅いらしいの」

彼女と最後に会ったのはもう1ヶ月以上前か。
仕事が忙しいのと最近彼氏と同棲を始めたこともあり、学生時代に比べると確実に会う頻度が減っていた。

「いいね!場所はどこがいい?」

「渋谷はどう?
17時前には着ける」

「今渋谷だからちょうどいい
そしたらまた着く時間わかったら教えて」

「OK、じゃあまた後で!」


元気のいい返事と共に電話は切れた。
お互い時間があえば数時間後でも気軽に会えるフットワークの軽さが彼女のいいところだ。

彼女が到着するのを待ちながら、夏のデートで使える洋服を見て回ろう。
2時間弱を使うにはちょうどいい暇つぶしだ。