好きな人に抱かれて眠って、朝を迎えたのはいつぶりだろう。
お酒は多少残っていたけど、久しぶりの満足感で私の心は軽かった。
目覚めのキスも、だらだらと着替えをして目黒川沿いのカフェでランチをして恵比寿までお散歩というデートコースも、王道すぎて自分がこんなことをしていいのかと思ってしまう。
初めて待ち合わせした恵比寿駅の改札にたどりつき、懐かしい気持ちになる。
あの時の緊張感はもう無くて、だいぶ彼に心を開けていることが嬉しかった。
それと同時に楽しかった三日間のデートが終わろうとしてることに寂しさが湧き上がってくる。
「連日ありがとう。
じゃあまた、週末あたりにデートしようね」
手を離して向かい合うと、微笑んで彼がそう言った。
そうか、次の約束が当たり前にある関係になったんだなと彼の言葉にハッとさせられて、寂しさがいくらか落ち着いた。
「うん。こちらこそありがとう、楽しかった。
また連絡するね」
手を振って改札を抜けて、後ろを振り向くと当たり前のようにこちらの方を見て手を振ってくれる。
この時の雅也くん、犬みたいでかわいいんだよなぁ。
にやけるのは隠さず、私ももう一度手を振ってあいさつをした。
付き合いたての歯痒さと、久々に一人になる安心感とに浸りながら、昨日までの出来事を思い出しつつ山手線に腰を下ろす。
日曜日の15時前。
窓からは暖かい陽の光が差し込んで心地いい。


