少し名残惜しそうにゆっくり体を離して、彼が裸のままソファに座り直した。
私も体を起こして、気恥ずかしさからそばにあったブランケットを膝にかけて、彼の肩にもたれかかった。
目の前にあるテレビに映るその様子がなんだか滑稽。

「私も、やっとちゃんと雅也くんに触れられて嬉しかった」

目を見なければいくらか素直になれたので、小さな声で呟いた。

「透子ちゃんて結構シャイでしょ」

彼が顔を覗き込みながらにやけた顔でそう言った。
すっかりこっちの心中は見透かされてしまっているらしい。

「そうね。あんまり思ってること言葉にするのは苦手。
あと、正直に気持ちを伝えられると嬉しいんだけど、照れちゃってまともな返事できない時あると思うけど許して」

それを聞くと彼が吹き出した。

「大丈夫、ぶっきらぼうなリアクションも結構楽しんでるから。
けど、時々は素直に何思ってるか言ってくれると嬉しいな。
どうしたいとか、どうしてほしいとか」

「素直になるねぇ…うーん、出来るだけ努力はします」

多分なかなか難しいんだろうなと思いながら返事をした。

「無理ない程度にでいいんだけどね。
ていうかたくさん歩いて疲れたでしょ。お風呂入ってはやめに寝る?」

たしかに、体の疲れもあるけど今日一日気持ちの上がり下がりが激しすぎて、落ち着いたらまぶたが重たくなり始めていた。

「うん。そうする」

シャワーを浴びてから、ベットに潜り込んで彼の腕に包まれるとスッと眠りに落ちてしまった。