髪を撫でたい衝動に駆られたけど、ケイさんに対してするのと同じ行動をとるのは違うかなと思い、代わりに抱き締める腕の力を強めた。
心も体も満たされた喜びを噛み締めた。
少なくとも明日の朝までは、この余韻に浸りながら甘い時間を過ごすことができるのか。
恋人と繋がれるって、こんなに嬉しいことだったっけ。
神秘的な心地にぼんやりしていると、首元に彼が顔を埋めてきた。
「抑えられなくてごめん、一緒になりたい気持ちが抑えられなくて…」
口元が覆われて聞き取りづらかったが、かすかに情けなくそう呟く声が聞こえた。
その直後体をゆっくり離し、子犬のような表情で顔を覗き込まれると、すぐにニコッと笑って
「けど、めちゃくちゃ気持ちよかった。幸せ」
そう呟いた後、軽く音をさせてキスをされた。
この嫌味でないマイペースさが少し羨ましくなる。
こんな時でも私は彼の目に自分がどう映っているのかばかり気にしているのに。
高鳴る胸の鼓動や、今キャラにもなく照れていることが伝わらないように必死でポーカーフェイスをしているのがバカバカしくなるけど、こうやって体を重ねた後ですら素直になることのほうが私にとっては難しいことだ。


