part-time lover



「あー、いいライブだった〜」

アンコール後の拍手が鳴り止んだタイミングで満足そうに彼が声を漏らした。

「めちゃくちゃかっこよかった!やっぱりライブで聴くと違うね。
アレンジも即興のセッションもよかった〜」

満足感と興奮から自然と声のトーンが高くなる。

「でしょ!気に入ってくれてよかった」

満足気にそう言うと、グラスに少しだけ残ったワインをグッと飲み込んだ。
私も同じように喉を潤す。
白ブドウの甘みが口の中に広がって心地良い。

「夜風でクールダウンしながら余韻に浸ろうか」

ライブ後の興奮が少し落ち着いたタイミングで、その言葉を合図に席を立った。

時間はまだ20時前。
どうとでも転べるこの後の展開。
何をしてもこの人となら楽しいだろうけど、出来るだけ後悔しないように過ごしたいなというのが正直な自分の気持ちだ。