お腹が満たされて、酔いも心地よく回ったところで時計を見ると針は21時前を指していた。
「一度しめようか。透子ちゃん時間大丈夫?」
「明日も休みだから余裕だよ」
恵比寿から徒歩圏内の家に住んでいる彼には負けるけど、いつものことを考えたら帰宅時間も酔いの回り具合もまだ余裕があった。
「よかった。そしたらもう一軒行こうか。
何か飲みたいものとかある?」
ふと考えて、この漠然とした物足りなさの理由がわかった。
「ビール!クラフトビールが飲みたいな。
駅の近くに行きたいお店があるんだけど、付き合ってもらえる?」
それを聞くと彼がおかしそうに笑った。
「あれ、ごめん。なんか見当違いなこと言ったかな?」
「いや、ごめんはこちらだよ。
ビール飲みたかったんだね。最初っからワインのボトルなんて入れちゃって悪かったなって。
いいね、そのお店案内して」
そう言われて少し顔が熱くなった。
お会計は払わせてはくれなかったけど、じゃあその分二軒目は透子ちゃんねというやりとりが心地よかった。
こういうの、本当に久しぶり。


