抜けてきたアルコールを補充するために駅前で缶ビールを買い、飲みながら普段買い物に来る商店街を歩いた。
「ここのスーパーでお買い物するの?」
「そうそう。前も言ったけどほとんど料理しないけど」
「生活用品はこのドラッグストア?」
「そうですね、もしくはあっちか」
「甘いものが食べたくなったらここのケーキ屋さん?」
「普段はコンビニスイーツばっかりかな。けど、ここのお菓子おいしいですよ」
私の生活圏なんて何も面白くないのに、目に入るお店を見てはそんな風に目を輝かせて質問してくる陽さんが無性に可愛く思えた。
しばらく歩き最寄りのコンビニの前までたどりつき、足を止めた。
「もう少しで我が家です」
「へー、駅から近いし便利だね」
どうしたものかと思ったけど、この時間から外で飲むくらいなら家でゆっくり過ごしたい気持ちの方が優ってしまった。
「よければいらっしゃいますか?」
あんなにフランクに話してたのに、緊張するとかしこまった敬語が出てきてしまうのがおかしかった。
「え、大丈夫なの?」
「はい、もうここまで来たらどこで飲んでも同じじゃないですか?散らかってますけど」
昨日どんな状態で部屋を出てきたか思い出す。
片付けが苦手な私の部屋にしたら割と片付いている方だったし、引かれることはないだろう。
「ありがとう。じゃあお言葉に甘えて」
コンビニでビールを買い足し、住宅街へ続く横道へ逸れると、住み慣れたマンションが見えた。
「こちらです」
「わー、どうしよう。妻以外の女の子の家に上がり込むのって初めて」
久しぶりに奥さんという存在を提示されて心が痛む気がしたことからは目を逸らし、カバンの中から鍵を出した。


