part-time lover



先日陽さんにお別れのキスをされて顔を熱らせながら降り立った表参道のホームで電車を乗り換え、今日は家へと向かう乗り慣れた電車に彼と2人で乗っている。

平穏に過ごしていたら全く知り合うはずのなかった2人が今こうやって同じ目的地に向かって足を進めている。

そんな事実を改めて頭の中で整理したら、私の人生も大概狂ってるなと20代も半ばにして悟ってしまった。

乗り慣れているはずの電車も、彼と2人でいるだけで海外のサブウェイのような新鮮さになるんだから、物の見方は一緒にいる人で変わるものみたいだ。


車内のアナウンスから、聴き慣れた最寄駅の名前が流れた。

ドアが開いたタイミングで、2人して見慣れたホームに降り立つ。
このあとどうやって過ごそうか。まだ外は明るい時間だ。

「電車で駒澤まで来たの初めてかも。透子ちゃんはいつもここから電車に乗って通勤してるの?」

「そうですね。眠そうな顔して出勤してます」

「そんな様子も見てみたいけど。
これから透子ちゃんの生活が見られるの、楽しみ」

改札を抜け、見慣れた街に戻ってきた。昨日家を出てからまだ24時間も経ってないのに、ありえない出来事が多すぎて長旅から帰ってきたような気持ちになる。