ちょうど一番日が高い時間帯。代々木公園で遊ぶ親子や学生の様子を見流しながら、千鳥足の2人して歩く様子は、だいぶ滑稽なんだろう。
自分ではそこそこしっかりしているつもりだけど、少し足元がおぼつかなくなっていることにはなんとなく自覚があった。
酔っ払っているのは彼も同様らしい。
潤んだ瞳と少しだけたどたどしいステップを踏む様子から察しがついた。
「陽さんはランニングいつから始めたの?」
「30過ぎたあたりかなあ。節目の年だし、体に気を使った方がいいかなと思って始めたけど。その分飲んでるからプラスマイナスでいったらマイナスかも」
潔く認めるところが清々しい。
「体が引き締まってるところ、素敵だと思いますよ。
私も何か運動しなきゃなーと思っても全くやらずにここまできちゃいました」
「今まで何かスポーツやってたの?」
「いや、全く。超文化系の学生時代でした。っていうか、帰宅部に準ずる部活とかサークルにしか所属したことなくて。運動神経には全く自信ないです」
「そうなんだ。意外だけどなんだかかわいいな」
「いやいや、実際に運動してるところを見たら笑えないですよ。
球技とか、ことごとくラケットにボールが当たらないですもん」
それを聞いて彼が吹き出す。
「俺が思ってる以上かも。けどやっぱりそんな様子もかわいいだろうな」
「可愛くはないけど、そんな私なので自分から体動かそうって思える人は尊敬します」
「ほんとに趣味程度だけどね。けどやっぱり汗かくのは気持ちいいよ。透子ちゃんも思い立つことがあれば是非」
「いくつになってもそのスイッチは入らなさそうですけど…」
やる気のない私の返答に、また彼が笑った。
あと数年後、節目を迎える年になったら自分もそんなことを思ったりするんだろうか。
その頃にはこの人とまだ会ったりしてるのかな。
そんな想像もつかない未来のことを思って、気が遠くなる気がした。


