「まだお昼なのでこれくらいで」
再び唇を離して目が合うと、恥ずかしそうにそう言って彼が体を離した。
そういう風にギリギリのラインで線引きをするところが大人だし、けどもどかしいと思った。
「こんな明るい時間から外で大胆すぎましたね」
私も一度冷静になろうと彼から目を逸らした。
空を見上げると雲ひとつない晴天が広がっている。
「まだ日が高いですね。
太陽の光に透かされた木の葉の緑ってこんなに綺麗でしたっけ」
「夏を感じるね。太陽に透かされてって、俺と透子ちゃんみたい」
言ってる意味を理解するまでに少し時間がかかった。
「名前のことか!風流なこと言いますね」
キザなセリフに照れる以前に感心してしまった。
和歌を詠んでいた時代の人たちは、こんな風に口説きあっていたんだろうかとくだらない考えが頭をよぎった。
「これでも一応文章に関わる仕事してるんで
」
「さすがですね。ちょっと尊敬しました」
「我ながらうまいこと言ったと思うんだけど、もっと褒めてよ〜」
そう言って拗ねる彼が可愛らしく思えた。


