ライブハウスやミニシネマを横目に、坂を下ると街の様相がガラッと変わる。
連休中ということもあり、街の中心地はランチや買い物に来る人たちで溢れかえっていた。
百貨店の向かいにある老舗のパン屋さんでサンドイッチを二つ買った。
私はハムとチーズ、彼はツナとタマゴ。
店内のバターの香りで食欲が刺激される。
ビールで忘れていた空腹を思い出したようだ。
公園通りの緩やかな坂を登り、途中で大量のビールとビニールシートを調達した頃には、暑さでだいぶ体力を消耗されて喉の渇きを感じた。
「人も少なくなってきたし、開けちゃってもいいかな?」
額の汗を拭いながら我慢の限界を迎えた彼が呟いた。
「え、ビールですか?」
「そうそう」
おもむろにレジ袋の中身を漁り出し、私に手渡した。
「返事の前にもう飲む気満々だし」
ツッコミを入れつつも、目の前の冷えたビールを飲まずにはいられなかった。
笑って受け取ってプルタブを引いた。
昨日今日と合わせて何杯目なんだろう。
考えるのが恐ろしくなって、喉に流し込んで思考を麻痺させた。
冷たい液体が喉から体内に染み渡る。
「は〜生き返る」
隣を見ると、そう吐き出したあと彼が続けてごくごくと喉を鳴らしている。
降り注ぐ太陽の光を浴びて、CMにでも使えそうな光景だ。
「ほんと、暑い中我慢してから飲むのは格別ですね」
そんな彼の様子を微笑ましく思いながら、私も真似してグッと飲んでみた。
眩しい日差しに包まれて飲むビールは、夏の味がする気がした。


