ドライヤーの音が聞こえたあと、スッキリした表情で彼が帰ってきた。
「あ、お化粧したんだ。
すっぴんでも可愛いのに」
媚びるつもりは全くなく、口からそのまま出たようなトーンで言われたから面食らってしまった。
「いやいや、流石にいい大人なので」
可愛らしい返しをするほどの余裕はなかった。
それよりも、なんとか取り繕ったメイクでも、自分の見た目の変化にすぐ気づいてくれるところがさすがすぎる。
「いやいやまだ若いじゃん。
そろそろチェックアウトしなきゃだよね。身支度整ったらでかける?」
「はい、もう出かけられます」
鞄にケータイを詰めて、ソファから立ち上がった。
玄関で一度だけ軽くキスをして、一晩お世話になった部屋のドアを開けた。


