「じゃあ、お言葉に甘えて…」

その後、日野くんと交互に曲を入れ声が枯れるほど歌い続けた

最後にカラオケに入ったのはもう半年前のことだったのでたまりにたまったストレスをぶちまけた

「ありがとう」

日野くんは私の事に気づいて連れて来てくれたのかもしれない、そう思うと声が出ていた

日野くんはニコッと笑い、「いいんだよ」と言う

…悪い人ではなさそう…。

冷めきっていた私の心が溶け始める気がした

「いってきます」

誰もいない家に向かって言葉を放つ、言葉は返ってくることなく寂しく消える、こんな生活にもう慣れてしまった

「うわ、かわいそうアイツ一人じゃんw」

「ほんとだ。くそ笑えるんですけどw」

家を出てすぐ女子二人のヒソヒソ話す声が聞こえる

きっと私のもといた学校の女子二人だろう

その声を気にせず学校へと足を進める

「おはよー!」

今日も同じ茶髪にピアスに着崩した制服

「おはよ」

日野くんの横をスルリと通り校門に入る

「もーっ相変わらず素っ気ないなー」

バックの紐をリュックのように背負い駆け寄ってくる

「日野く〜ん❤️おはよ〜❤️」
茶髪のロングヘアにネイル、濃いメイクをした女子達が日野くんに話しかける

日野くんは困っているようだった、けど知らんふりをして靴箱へ行く

…私には関係ない。