事故物件カノジョ

「ただいまー」
グダーっとしていると、
「お帰りなさい!」
とレイが来た。
「そういえばさ、お前何食ってるの」
と聞くと、
「えっと・・・線香の煙か、生気かな。」
「え、怖い。」
明日線香買ってこよう。
「冬樹くん、お外出てみたい。」
出ればいいじゃないか、と思ったが、そういうわけにはいかないらしい。
地縛霊、だっただろうか、そういう仕組みで、どうしようもない。
彼女のひとつの、たったひとつの願いすら叶えられない。
そんな無力さを感じた。