おれは獲物がすでに死んでいたことにやる気をなくして、しかもこんなガキに懐かれたことに自尊心も失い、仕事続行の気力を完全に削がれちまった。
そうして今に至るわけさ。

まったく笑っちまうよ。
依頼を失敗したうえ、ガキや、さらに犬にまで懐かれているときた。

おれの人生史上最高の笑い話だぜ。今夜は酒がはずむだろうとも。

もはや今更こんなきちがいな子供を殺す気力も失せた。妙に笑顔振りまいておれに懐いてくるが、おれはお前を雇う気なんざないってことがわかってるんだろうな。いや、全然わかってねえ。
ガキだから最初は見分けつかなかったが、男のブツがついてねえってことは女じゃねえか。なおさら却下だ。

まったく面倒なことになっちまったな…。
このガキの目、久しく見ていなかったが本物だぜ。立派な殺し馬鹿の目さ。

ああ、笑っちまうよ。

とんでもねえもんを見つけちまったもんだぜ………。








-とある男の手記-