帰り道。

「はあ」と、オレはため息をつく。

今日のゲームは、さらに難易度が高くなっている気がした。

全く、何でこんな時間まで…

今は、7時。

家が遠いという訳では無いが、流石に遅くないか?

オレの家は、門限とかは全然無いんだけど。

それに、母さん達には、彼女の家に行っていたと言えば、逆に褒められるしな。

何で褒められないといけないんだよって、感じなんだけどな。

姫子には、いつも振り回される。

ゲームの為に家に行き、学校では、カップルらしい事なんてしない。

というより出来ない。

姫子は、学校中のアイドルなのだ。

文化祭のミスコンでは、殿堂入り確定とまで言われている。

彼氏としては、鼻が高い。

凄く嬉しいし、自慢出来る事だ。

オレの彼女は、ミスコンで殿堂入りした事があるんだって。

心の中では、こう思っているが、姫子とゲームをするのは、案外悪くない。

姫子は、自分が勝つと(いつもなんだけど)オレに向かって自慢げに笑顔を見せる。

その笑顔は、凄く可愛い。

天使みたいに、癒される。

そして、オレもつられて笑顔になる。

オレは、姫子が好きだ。

素直になれないだけなのかもしれない。

表に上手く出せないだけなのかもしれない。

だけど、これからも姫子の笑顔が、隣で見られるなら、毎日付き合ってやっても良いかな、と思った瞬間だった。

月曜日は、オレから言ってみるか。

少し足取りが軽くなった気がした。