松原姫子(まつばら ひめこ)

成績優秀、スポーツ万能、おまけに美人の完璧少女。

誰もが、彼女の彼氏に成ろうと努力した。

オレ、蓮池太一はそんな彼女の彼氏だ。

オレは、特別イケメンという訳ではない。

勉強はダメダメだせ、スポーツだって人並みだ。

しかし、彼女はなぜかオレを彼氏にした。

同じクラスの池田に、どんな手を使ったのか聞かれた時は、なんと答えればいいか分からなかった。

さて、そんな学校では完璧な姫子だか、オレの前では違う。

あいつは、ただの頭がおかしい奴になるのだ。

今日も、オレは姫子の家に来ていた。

そして、姫子は覚醒する。

一目散に自分の部屋に行くと、自分の部屋着に着替える。

オレも、普通の部屋着だったら、何も言わない。

だが、あいつの部屋着は、普通じゃないのだ。

「太一!」

ドタバタという音と共に、姫子が部屋から出てきた。

部屋から出てきた姫子は、別人だった。

学校では、清楚系で通っているが、今の彼女にはそんな風は一切ない。

黒い髪は、乱れて横の方に少しはねている。

服は、水色のセーター。しかも、星が散らばっている。

左足には、なぜかピンク色のリボンが巻きついているし。

そして、ズボン。

履いていないのだ。

男のオレからみたら、というか、誰から見ても変態レベル。

セーターが腰まであるから、まだなんとかできるが、なかったらオレは死ぬ。

色んな意味で死ぬ。

「お前、いい加減その部屋着どうにかしろ。」

「ほう?私に惚れたんだろ?なら、セクシーな方がいいじゃん。」

よくない。

心の中でツッコむ。

もう一度言う、よくない。

「まあいいや。ゲームしよー。」

姫子は、リビングの方へ行った。

ゲーム?悪いが、オレは帰らせてもらう。

姫子がリビングのドアを閉めた瞬間、オレは、玄関のドアを開けた。

そっと、外に出、オレは家を後にした。

とまあ、こんな感じで毎日が過ぎていく。

オレは、何で毎日姫子の家に行っているかというと、あいつが誘ってくるからだ。

学校では、姫子は男女問わず人気で、彼氏がオレになった時、学校中で姫子ロスが起こったくらいだ。

そんな訳で、姫子の誘いを断わろうとすると、教室ではクラスメイトに睨まれ、廊下ではそこにいる全員に睨まれる。

そして、姫子の家まで行く羽目になるのだ。

学校とは違い、家での姫子はバカだ。

警戒心はないは、ダラダラするは、何であんなに成績良いのか聞きたいくらいだ。

ちなみに、姫子の両親は帰りが遅い為、オレの存在は知らない。

知ってたら大問題だけどな。

毎日帰りに、彼氏とはいえ、男が家に来ている。

最悪、オレ学校退学だからな。

ピロピロ ピロピロ

携帯がなる。

姫子からだ。

正直出たくないが、出ないとめんどくさい事が起こるからな。

「もしも…」

『たーいーちー!!』

電話口から聞こえる怒鳴り声。

近くを歩いていた人が聞こえたのか、オレの方を見た。

恥ずかしい気持ちを抑え、姫子との会話に戻る。

「なんだよ、うるっさいな。」

『うるさいじゃない!お前、また逃げやがって!今どこ?』

学校では絶対に言わない言葉使い。

あいつ、頭の構造おかしいんじゃないか?

『聞いてんの?どこにいるの?』

「………家に着いたけど。」

さりげなく嘘をついてみる。

姫子は引っかるのか、引っかかってくれ…

『はあ?マジで、早すぎ。もう、また太一とゲームできないじゃん。』

よし、引っかかった。

やっぱり、あいつは学校の時よりバカだな。

『明日は逃げないでよね。金曜日だから、文句ないよね?』

切ろうとした時、姫子から脅しが。

これは、きずかずに切った事にしていいよな?

よし、切ろう。

オレは、通話を切った。

別に逃げている訳じゃない。

ただ、早く家に帰って、オレもゲームがしたいだけだ。

………逃げてるか。

別にオレは、姫子が嫌いな訳じゃない。

むしろ、好きだ。

学校にいる時の姫子は、美人で、成績優秀で、スポーツのできる人気者。

家ではあんなんだが、一応、学年1位の成績をほこる。

ずっと一緒にいたいし、ゲームだってしたい。

だが、言わせてくれ。

毎日は、止めてくれ!!

流石に毎日彼女の家に行ってゲームをするのは、違法なんだと思うんですけど?(違法ではありません)

そんなの、池田に言っても、引かれるわ。

もちろん、言っていない。

全く、オレの彼女は頭がおかしい。