月本は俺の隣を横切って部屋を出ようとする。


「彼女とどれだけ付き合いがあったか知らないが、

いつも買い物までしてきてくれた人に対して挨拶も無しか?」


『綾瀬さんとは6年と3ヶ月のお付き合いです。

・・彼女は早くて1年で復帰します。

今生の別れでもないのに、
挨拶無しではいけませんか?』


「・・・あんた・・・椅子の上に座りっぱなしで、

“義理人情”もろくに知らないまま警部になったようだな。」


『・・・・・・。』


「というかあんた・・
・・ホントに“刑事”なのか?」


『質問に答える前に1つ申し上げますが、君は恐らく私が最も苦手なタイプです。』


「・・・・・・。」


『ですが、この仕事はパートナー抜きでは成立しない。

お手柔らかによろしくお願いします。』


「・・・・・・・・・・。」


『・・あ、そして私は刑事です。』



最後にそう言って月本は部屋を出て行った。