どうもこの綾瀬さんは、
物事を大袈裟に話す節があるらしい。


まだ会って数時間しか経っていないが、
話半分で聞くことにする。



「なによその疑惑の眼差しは・・??」


ただ、俺の表情の変化をすぐに読み取る最低限の器量は持ち合わせてるらしい。



その後の話でひとまず、

綾瀬さんが現場に赴いたり、依頼元と会って現場の状況等の情報を集め、

月本ヒデトシ警部が+α、

あらゆるデータベースからの情報等を駆使して頭の中で想像を膨らませる・・

という事を教えてもらった。



やっぱり月本は刑事には向いていない。


ネコ探しやどうでもいいヤマはそれで解決できるかもしれないが、

俺が1課で扱ってきた凶悪事件は・・

椅子の上に座っているだけで解決するほど簡単なものじゃない。


被害者、犯行現場、

被害者遺族・近しい友人、
現場付近の状況、容疑者候補。


ありとあらゆる物を自分の五感で感じ取り、

時には培ってきた経験や匂いで“勘”を働かせて犯人着手へと駆け抜ける。



・・なにが“安楽椅子刑事”だ。


「多分月本さんと俺は性が合わないですよ。」


「・・・うん、私もそんな感じする!」



何故か楽しみそうな表情を浮かべる綾瀬さんと共に喫茶店を出た。






第3章 完