「ちょっと座って待ってて!」


「・・・はい。」


7ヶ月・・いや8ヶ月といったところか。


一目で分かる“妊婦さん”のその女性は再びエコバッグを持つと、

鍵が掛かっている準備室の前に立った。



“コンコン”


「ヒデさーん!戻りました~。」


え・・・・?



“ガチャリ”


「はいっ!どうぞ。
神野くんも来ましたよ!!

どうします?・・・・はい、了解でーす。」



・・・・・・少し呆気にとられて、

女性の背中と開けられた準備室の扉を見つめる。




「さぁさぁ!忙しくなるぞ~。」


「あの・・・。」


「はい?」


「あの部屋・・中に誰かいるんですか?」


「はい。」


「でも鍵が・・・?」


「え~~~っと。うん大丈夫!」



何が大丈夫なんだと言いたくなったが、
初対面なので心に留める。