蒼の花と荒れる野獣Ⅱ




「和佳菜ってバカだったのか?」


「何よ、馬鹿って。少なくとも、仁より頭はいいからね!」

クスクスと笑って、もう元どおり。


の、はずだったのだけど。


「ごめん、和佳菜。でも本当に出て行ってほしい」


仁は冷静になっても同じ言葉を吐く。



「…どう、して」


「お前が邪魔だってのは、もちろん嘘だ。でも」


そう言ってあたしを視界から外してぎこちなくなる仁。


「…でも、なに」


「お前はここに居ちゃいけねえ人間なんだ」


「居ちゃいけないって、どういうことなの?」


ねえ、教えてよ。


どうしてあたしと貴方は離れなくてはいけないの。


「お前は堅気の人間だ。俺や綾とは違う。学生のひと時を楽しむだけの奴とも違う。俺らは訓練期間なんだ」