「ねえ、仁。この二週間の間に一体なにがあったの?」
「……聞くな」
「聞くわよ。貴方がそんな情けない顔をしているのだから、聞く以外にできることなんかないでしょ」
「……」
今度はだんまり。
どうやら話す気はないらしい。
仕方がない。
あたしは静かに息を吸った。
「…いい?仁、よく聞いて。あたしは綾側とか誰か1人の味方になったことはない」
視線をしっかりと俯く仁に合わせる。
これが事実であることを彼に伝えるために。
「だけど、もし貴方があたしに助けを求めるならば、あたしは迷わず貴方の側にいる」
「…俺は、お前に出て行けって言ったんだけど」
つまらないことを言わないでと、あたしは笑った。
「そんなの知らないわよ。今の貴方は確実に助けを求めているのに、あたしがどうして貴方を見捨てなければならないの?」
弱った人はとても脆い。
人間誰しもそういう時があると思う。
あたしだってあったのだから。
貴方があたしを救ってくれたときのように。
今度はあたしが救いたい。



