蒼の花と荒れる野獣Ⅱ


「ねえ、仁。この二週間の間に一体なにがあったの?」


「……聞くな」

「聞くわよ。貴方がそんな情けない顔をしているのだから、聞く以外にできることなんかないでしょ」


「……」

今度はだんまり。

どうやら話す気はないらしい。


仕方がない。


あたしは静かに息を吸った。

「…いい?仁、よく聞いて。あたしは綾側とか誰か1人の味方になったことはない」


視線をしっかりと俯く仁に合わせる。

これが事実であることを彼に伝えるために。


「だけど、もし貴方があたしに助けを求めるならば、あたしは迷わず貴方の側にいる」


「…俺は、お前に出て行けって言ったんだけど」


つまらないことを言わないでと、あたしは笑った。


「そんなの知らないわよ。今の貴方は確実に助けを求めているのに、あたしがどうして貴方を見捨てなければならないの?」


弱った人はとても脆い。


人間誰しもそういう時があると思う。


あたしだってあったのだから。


貴方があたしを救ってくれたときのように。




今度はあたしが救いたい。