「仁?」
仁が居なくなってから、今日で二週間と2日。
もう10月中旬の寒空の中の日も暮れてしまった頃。
呆然と立っている倉庫出入り口に立っているその人がまさか仁だなんてそんなことを誰が予想する?
この日は倉庫に来ている人が少なくて。
というか、あれから仁ばかりを捜していたせいもあって、倉庫に多くの人が集まることはなかったから。
いつも倉庫に入り浸るあたし以外に辺りに人はいない。
「…ねえ、仁なの?」
あの日、いなくなったあの日と同じ格好だとは思う。
だけど、暗いところにいるから仁だという確信は得られなくて。
「返事くらいして頂戴」
そう明るいところに引いていこうと手首を掴むと。
「触るな」