新しく作ってもらった自室に入ると、ベッドにゴロンと寝転んだ。


さっきの光景が頭に浮かぶ。


あたしじゃないひとを。


大切そうに抱きしめる。


あたしじゃないひとを。


静かに守っている。


そこにいるのは、あたしじゃない。



彼女だ。



離れたいと望んだのはあたし。


あの場にいるのが辛くて、居たくなかったから寝ることを口実に離れたのはあたし。


だけどさあ。


そこまで、そばにいなくてはならないの?



あの子、ああ見えてとても怖い存在なのよ。


自分の纏う空気を自由自在に操る彼女。


それを周囲のみんなはちゃんと感じ取っている。



知らないのは貴方だけ。



なんだか泣きたくなってきた。


どうしてあたしじゃないのだろう。


離れていた1年は貴方を振り向かせることができないほど長い期間だったというのかしら。


その時だった。



コンコンと、ノックの音があたしの部屋にこだました。