若干面食らいながら、だけれどもあくまでも冷静に彼女に伝える。
「別に違うとは思わないよ?みんな千夏ちゃんにも優しいと思う」
「そんなことない!…なんとなく、千夏とは距離を置いてる感じするもん。和佳菜ちゃんと喋ってる時の方が砕けて優しい雰囲気になってる」
文句を言う彼女をなだめながら、自然に違和感ないようにそっと離れた。
彼女に離れたと気づかれないくらいに。
仁だけはそっと気がついて、彼女を優しく抱きとめながら口をパクパクと何やら動かした。
抱きとめた瞬間にズキンと一瞬心のなにかが痛くなったのはきっと気のせいだろう。
「なに?」
“ ゆ・っく・り・や・す・め・よ ”
そうもう一度言って微笑んだ仁に。
なんだか少し寂しくなりながら。
“あ・り・が・と・う”
と微笑んだ。