「じゃあ、仁は?」
「俺も綾と同じような感じ。そんな行ってねえよ」
「…やっぱり、2人が姚島蒼井に来たのは」
「ま、琢磨さんのせいだよな」
「あいつ、連絡も寄越さないでどこ行ってるんだか」
「連絡、取れねえのか?」
少し驚いたように仁があたしに聞く。
「ええ、あたしがマークの元から帰ってきた時から、1度も連絡がないの」
あの日、帰る時にもう一度あたしを抱きしめてから、こう言ったのだ。
『俺はやることがあるから、それが終わったらまた会おう』
それがいつ終わるのか、あたしは質問さえできないまま。
琢磨は病院を出て行った。
それきり、彼の姿は見ていない。